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税務・経理

工事進行基準が適用される要件とは?適用されたら仕訳や会計はどうなるの?

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建設業界では工事進行基準という考え方で会計処理をしています。この工事進行基準とはどんなものなのか、どんな要件を満たすと適用されるのか、適用されたら仕訳や会計はどうなるのかなどをご紹介します。

工事進行基準が適用される要件

工事進行基準とは、工事が完了するまでの間に複数回、会計処理を行うやり方です。税法上これが適用されるには、その案件が長期大規模工事だと認められる必要があります。認められるための要件とは、以下の通りです。

・内国法人が、長期大規模工事(工事(製造及びソフトウエアの開発を含む。以下この条において同じ。)のうち、その着手の日から当該工事に係る契約において定められている目的物の引渡しの期日までの期間が一年以上であること、政令で定める大規模な工事であることその他政令で定める要件に該当するものをいう(法人税法第六十四条

・(工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度)に規定する政令で定める大規模な工事は、その請負の対価の額(その支払が外国通貨で行われるべきこととされている工事(製造及びソフトウエアの開発を含む。以下この目において同じ。)については、その工事に係る契約の時における外国為替の売買相場による円換算額とする。)が十億円以上の工事とする(法人税法第百二十九条第一項

・第六十四条第一項に規定する政令で定める要件は、当該工事に係る契約において、その請負の対価の額の二分の一以上が当該工事の目的物の引渡しの期日から一年を経過する日後に支払われることが定められていないものであることとする(法人税法第六十四条第二項

これに当てはまらず長期大規模工事と認められない案件に関しては、工事進行基準を適用するか、工事完成基準を適用するかは自由となっています。

例外として、長期大規模工事に該当しないものであっても下記の要件に当てはまる場合は、その事業年度に完成した分を計上する必要があります。

・一の契約により同種の建設工事等を多量に請け負ったような場合で、その引渡量に従い工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合(法人税法基本通達2-1-4

・1個の建設工事等であっても、その建設工事等の一部が完成し、その完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合

工事進行基準の会計と仕訳

工事進行基準では「工事収益総額」「工事原価総額」「決算日における工事進捗度」の3つを算出して会計を進めます。工事進捗度は原価比例法という方法で計算し、そこから工事収益を割り出します。計算式は以下の通りです。

工事進捗度=決算日までに発生した工事原価÷工事原価総額

当期の工事収益=工事収益総額×工事進捗度―過年度計上工事収益(既計上工事収益)

この時、原価を算出するには材料費や労務費、経費といった勘定から、未成工事支出金勘定に振り替えさせる必要があります。

このように、建設業には業界特有の勘定科目があるので注意しましょう。まず貸借対照表において比較しますが、一般的な経理で「売掛金」とされているものは「完成工事未収入金」に、「仕掛品」は「未成工事支出金」になります。これら二つは資産にあたるものです。また、負債にあたる「買掛金」は「工事未払金」に、「前受金」は「未成工事受入金」になります。

「工事損失引当金」は少し特殊で、工事についての契約が締結した後に、工事原価総額が原料や人件費の高騰により不具合が出た場合に用いるものです。工事原価が工事収益総額よりも大きくなると考えられる場合、その超過分のうちすでに計上された損益額を控除した残額を、工事損失が見込まれた期の損失として処理し、工事損失引当金を計上します。

次に損益計算書についてですが、収入にあたる「売上高」は「完成工事高」に、費用にあたる「売上原価」は「完成工事原価」に、利益にあたる「売上総利益」は「完成工事総利益」に変わります。

建設業界ではこのような特有の会計方法や仕訳があるので、一般的なものと混同しないように注意しましょう。

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