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2021年に「住生活基本計画」が改訂!住宅の憲法である住生活基本法とは?

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2006年に制定された住生活基本法は、日本の住宅における考え方を変えました。改めて本法律の趣旨を理解し、2021年に改定された「住生活基本計画」について整理できるよう、詳細を解説します。

日本における住宅の基礎「住生活基本法」

住生活基本法とは2006年に制定された法律で、日本の住宅について基盤となる考えを示しています。いわば、住宅の憲法ともいえる存在です。第一条でも、この法律によって住生活の安定と向上、それによる国民生活の安定と経済発展に寄与することが目的であると示されています。

戦後の日本では国民に対して住居の数が足りなかったため、とにかく量を確保するため、政府は住宅建設計画法と住宅建設五箇年計画を策定し、急ピッチで建設を進めました。高度経済成長期にようやく十分な供給が完了し、その後は急速な少子高齢化、生活様式の多様化などを受けて住宅の質に目が向けられています。これらの現象を背景に、本法律は制定されました。

住生活基本法の基本理念

住生活基本法の第三条から第六条は、住生活基本法の「基本理念」として基本的な考えを表しています。法律の内容を理解するうえで重要な要素になるため、個別に解説します。

■第三条 現在及び将来における国民の住生活の基盤となる良質な住宅の供給等

前述のとおり、急速な少子高齢化や生活様式の多様化によって日本を取り巻く住宅状況は変化しています。その中で良質な住宅を建設、改良、管理することが重要です。

■第四条 良好な居住環境の形成

良質な住宅とは、単にいい建物を建てるということではありません。地域の自然や歴史、文化などの環境と調和した、住民にとって愛着の持てる住環境を形成することを目指しています。

■第五条 居住のために住宅を購入する者等の利益の擁護及び増進

住生活の安定と向上のためには、政府が努力するだけでは不十分です。建設会社や不動産会社など、住宅をとりまくあらゆる民間事業者も協力しながら、住宅を購入する人と住宅に関わる事業者の両方の利益が増進されなくてはなりません。

■第六条 居住の安定の確保

日本で暮らす誰もが、より良い住環境を享受する権利があります。低額所得者や被災者の方、高齢者、子育て中の家庭など、どんな人でも住宅の確保と安定が約束された状態を目指します。

建設会社や管理会社など住宅を供給する業者は、この基本理念に則って事業活動を行うことが求められています。自分たちの取り扱う住宅が安全であること、品質や性能を確保することを常に意識して、必要な施策を行わなければなりません。また、事業活動を行ううえで適切な情報を提供することも求められています。

これは民間の事業者だけではなく、国は地方公共団体、公営住宅の関連業者も同様です。住宅にまつわる関係者が基本理念から外れることなく、より良い住宅の供給に努めるよう定められています。

2021年に改定された「住生活基本計画」

本法律では5年ごとに「住生活基本計画」が見直されています。直近では2021年に改定がありました。そこで3つの視点、8つの目標が明らかにされています。

■視点1 「社会環境の変化」からの視点

目標1:「新たな日常」や DX の進展等に対応した新しい住まい方の実現

コロナ禍ではリモートワークが主流になったことを受け、住宅内のワークスペースや地域のコワーキングスペースの確保を目指します。また、空き家をうまく活用し、地方や郊外での暮らしや多拠点生活を推進。

また、住宅契約におけるDXを進め、住宅の情報収集から交渉、契約までのプロセスでDXを導入します。

目標2:頻発・激甚化する災害新ステージにおける安全な住宅・住宅地の形成と被災者の住まいの確保

ハザードマップの整備や地方公共団体の防災強化、住宅の改修による耐震性向上など、安全な住宅・住宅地を形成します。食料や物資、エネルギーなどを住宅単体・共同で確保し、住宅地のレジリエンス機能を向上。また、大規模災害が発生した際には、住宅ストックを活用し被災者に応急的な住まいを確保します。

■視点2 「居住者・コミュニティ」からの視点

目標3:子どもを産み育てやすい住まいの実現

子育てがしやすく家事負担を軽減するためのリフォームを促進し、子育て世帯もニーズに合わせて都心に住めるよう推進。子供の人数や生活状況に応じて柔軟に住み替えができ、防音性の高さや保育施設へのアクセスなど子育て世代が求める条件を満たした賃貸住宅を整備します。

また、保育施設や公園などを整備し、子育て世代が住みやすいまちづくりを実践。どの世代も安心して暮らせる居住環境を整えます。

目標4:多様な世代が支え合い、高齢者等が健康で安心して暮らせるコミュニティの形成とまちづくり

リフォームやバリアフリーの情報を提供し、高齢者も住みやすい家づくりのための相談体制を整えます。また、バリアフリー性能やヒートショック対策などの整備を促進し、IoTを使った見守り機能も普及させます。

高齢者支援施設や医療福祉施設を開発し、地域単位で高齢者が暮らしやすい環境を整備。身体的状況にあわせた住み替えができ、家族や地域の人々と支え合えるコミュニティを形成できるまちをつくります。

目標5:住宅確保要配慮者が安心して暮らせるセーフティネット機能の整備

低額所得者、高齢者、障害者、外国人などあらゆる人のニーズ人応えられる賃貸住宅を提供。多様な世帯が安心して暮らせる環境を作ります。

国や地方と、住宅、福祉部局がワンストップで対応し、公営住宅・セーフティネット登録住宅や、生活困窮者自立支援を確保します。外国人入居者がスムーズに対応できるよう、多言語での入居手続き資料作成のガイドラインを周知。

■視点3 「住宅ストック・産業」からの視点

目標6:脱炭素社会に向けた住宅循環システムの構築と良質な住宅ストックの形成

ライフスタイルに合わせて住み替えできるよう、住宅音情報がわかりやすく提供される仕組みに改善し、購入後の安心感を高めます。

住宅を長期的に保つため、計画的な点検や修繕を促進し、耐震性や省エネルギー性などを向上させ、建て替えによる安心な住宅ストックに更新。マンションの長寿命化を目指します。

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、ライフサイクルCO2の少ない受託を拡充。炭素貯蔵効果の高い木造住宅を普及させ、まち全体でCO2を減らしていきます。

目標7:空き家の状況に応じた適切な管理・除却・利活用の一体的推進

空き家関係の法律を整備し、所有者の適切な管理を促進。これにより、空き家周辺に悪影響を及ぼさないよう対策を強化します。また、新たな空き家が生まれないよう、除去などを推進。

空き家家・空き地バンクを活用し、セカンドハウスやサブスクリプション型住居など他地域での居住を進めます。そのほか、空き家対策を行う民がん団体を支援することで、空き家を滑油した新しいビジネスの創出を促進します。

目標8:居住者の利便性や豊かさを向上させる住生活産業の発展

大工技能者などの担い手を確保し、育成することで、地域の伝統的な建築技術を継承します。人口減少に対しては省力化施工やDXを活用し、生産性を向上させることで対応できます。

他にもAIやドローンなど、新技術を開発することでより効率的な作業を実現し、サステナブルな住生活産業の発展に寄与します。

このように、「住生活基本計画」ではリモートワークの普及や加速する少子高齢社会など、現代の状況を鑑みて改訂されました。今後も5年に1回のペースで時代にあわせた変更が行われる予定なので、住宅関連の事業者の方はチェックしておきましょう。

参考

平成十八年法律第六十一号 住生活基本法

住生活基本計画(全国計画)

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